2022年04月18日

廃業してすぐ復活は裏技なの編

廃業してすぐ復活は裏技なの編

あいさつ

ということで宅建試験で必ず出題される宅建免許の問題ですが、過去不動産大学でも何回も取り上げてきましたが、この部分、本当に重要でしかもコメント欄への質問がとても多いんです。

今日もとても参考になる質問をいただいたので、ここで解説したいと思います。


kenitiさん
はじめまして、今年、試験合格を目指し3月から学習をしております。
業務停止処分の聴聞の前に、廃業届を出した場合は、5年を待たずに免許を受けることができるとサイトの解説に書いてありました。
そこで質問ですが、聴聞前に廃業してすぐに登録できるのであれば処分の意味がないような気がします。
どのように理解すれば良いでしょうか?

はい、これどういう意味かわかりますでしょうか?
ちょっと勘違いが入っている質問なんですがそれに気がつければ宅建免許は完璧に近づいているかもしれません。
この方の勘違いがわからなければ、まだまだという感じです。
重要な知識なので解説したいと思います。

以下に該当したために免許を取り消された場合には、取り消しから5年間は免許を得ることができません。

・不正な手段で免許を取得した
・業務停止処分中に違反を重ねた
・業務停止処分に至った事由がとくにひどい場合

この三大悪事で免許取り消されたやつには5年間免許やれないということです。
ただ、免許取り消しになるような場合、予め聴聞といって、業者側の言い訳を聞く機会が設けられます。
悪い奴らというのは性根も腐っているので、
だったら、聴聞から処分が下されるまでの間に自分で廃業届出しちゃえば、免許取り消し処分を回避できるじゃん
とか考え始めるやつ出てくるんです。
もちろんそんなことは法律はお見通しなので、こういう規定があります。
聴聞の期日や場所が公示されたあと、処分が下される前に自ら廃業の届け出をした業者についても、
届出を出した日から5年間は免許を得ることができません。

こうやって悪徳業者がのさばることを防いでいるわけです。

さて、ここからが重要なんですが質問を振り返ってみましょう。

kenitiさん
業務停止処分の聴聞の前に、廃業届を出した場合は、5年を待たずに免許を受けることができるとサイトの解説に書いてありました。
聴聞前に廃業してすぐに登録できるのであれば処分の意味がないような気がします。
どのように理解すれば良いでしょうか?

はい、これネットで情報見ていると情報が断片的にしか入ってこないのでこういう誤解が起きます。

kenitiさんの言っているのは業務停止処分の聴聞のことです。
業務停止と免許取り消しは大きな違いがあります。以前の動画でもやりました。
業務停止とは、約束破った子どもから任天堂スイッチをしばらく没収する処分です。
つまり、業務停止処分の前に行う聴聞というのは、しばらくお灸をすえるかどうかを判断するために行うものです。

対して免許取り消し処分というのは、お灸をすえてもまた同じような違反をする問題児なので、
今度は任天堂スイッチを捨てちゃいます。
そして捨てたら5年間は買ってもらえません。これはきついですね。
そういう処分です。

kenitiさんは聴聞前に廃業してすぐに登録できるのであれば処分の意味がないような気がします。
ということなのですが、これは業務停止処分の場合のケースです。
業務停止処分の場合、免許自体はそもそも有効ですから、
会社を廃業して新しい会社をつくるやつはあまりいないと思います。
そもそも新しく免許申請しても、免許が手元に来るまでに数ヶ月かかったりするので、
業務停止処分を食らっておとなしくしていた方がまだましだと思います。
また以前の動画でも言いましたが、廃業すると免許番号が1に戻ります
新参者扱いされますので、普通の宅建業者であれば業務停止処分の聴聞前に自ら廃業して会社を作りなそうなんて思わないでしょう。
お分かりいただけましたでしょうか。

今回なぜこの問題を取り上げたかというと、実は本試験でこのひっかけ問題かなり狙われるからです。

ちょっとやってみましょう。

平成18年問30
E社は乙県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、その公示後聴聞が行われる前に、相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした。その届出の日から5年を経過していない場合、E社は免許を受けることができない。

×

さっき言った通り、免許取消処分の前提となる聴聞の期日・場所の公示日から処分決定日までの間に宅建業廃止の届出をした場合には、届出の日から5年を経過しなければ免許を受けられませんが、よく見てくださいここ、業務停止処分って書いてありますよ。
この場合、公示日から業務停止処分の決定日までの間に宅建業を廃止したとしても、再度免許を受けることは問題ありません。
ただ、通常そんなことするやつはいないと思います。かえって面倒ですしもし処分されたとしても待っていた方が早いです。
そもそも従業員どうするんですか?
結構廃業してやり直すって大変だし時間がかかるんです。

ここ絶対に間違えないでください。

おまけ

もう1問関連でやってみましょう。

平成08年問37
不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして免許の取消処分の聴聞を受けた後で、処分に係る決定前に、相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をしたが、その届出の日から5年を経過していない。

はい、免許受けられるでしょうかどうでしょうか

免許を受けることができない

はい大丈夫ですか?
こっちは免取の聴聞です。免許取消処分の前提となる聴聞の期日・場所の公示日から処分決定日までの間に宅建業廃止の届出をした場合には、届出の日から5年を経過しなければ免許を受けられません。

なんの聴聞なのか必ず確認してください。聴聞の下りだけ見て5年間受けられないとか連想しないようご注意ください。

ということでまた明日。
posted by 棚田行政書士 at 00:00| 東京 ☀| Comment(1) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生、今回の記事ありがとうございました。問題集の解答をみてもずっと理解できていなかったのですが、
ようやく勘違いに気づくことができました。
Posted by tmj at 2024年10月05日 07:56
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