2020年07月06日

相続と農地法ハイブリッド問題を駆逐する編

相続と農地法ハイブリッド問題を駆逐する編

ということで、以前から農地法についてやってほしいというコメントを多数いただいているんですが、そんな中、相続と農地法両方の知識を必要とするハイブリッド問題がよく出ることをご存じでしょうか。

苦手意識を持つ人が多い、相続と農地法を掛け合わされるとやですよね〜。
でも今回の動画を見ていただければ、同じ手の問題には引っかからなくなるのでご安心ください。

ではコメントご紹介します。

ロッキー さん

おはようございます。
登録者数1万人突破、本当におめでとうございます。毎日、楽しくてためになる動画を上げていただけるので当然の結果ですね。これからも楽しく拝見させていただきます。

質問です。農地法の分野から。
平成23年、22問 1では特定遺贈は3条許可必要とあります。
平成28年、22問 1では遺産分割では3条許可不要となっています。
どちらも相続であり、遺言、遺産分割での配分だと思いますが、なぜ許可が違うのでしょうか?お忙しいと思いますが、ご返信お待ちしています。

ということでございます。
素晴らしいご質問ありがとうございます。
この2つの問題の違和感に気が付いている時点で、だいぶ理解が進んでいると思います。
この疑問ですね、相続の超基本的な知識が実は問われている問題でもあるんです。
じゃあ、それぞれ過去問からやってみましょう。


平成23年、問22
相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。

はいどうでしょうか。

答えは×です。

相続や遺産分割により農地を取得する場合、農地法3条の許可を受ける必要はありません(同法3条1項12号)。
本肢は、遺産分割の場合に許可を必要とする点が誤りです。
※相続や遺産分割があった場合、農業委員会への届出が必要です(同法3条の3)。

これですね、相続と遺産分割の概念を分けて考えているので非常に混乱する問題です。

整理しますよ。
相続って何か説明できますか?
相続は、被相続人の死亡により相続人が被相続人の権利義務を承継するもので、一般の売買、賃貸借等のように権利の設定又は移転のための法律行為がないので、農地法第3条の許可の対象外です。

じゃあ、遺産分割って何か説明できますか?
遺産分割とは相続人が2人以上いる場合に、遺産を分けて相続することです。
遺産分割が行われると相続開始にさかのぼって分割の効力が生ずるとされています。
遺産分割は、相続財産を具体的に確定するための手段にすぎないことから、農地法第3条の許可を要しないこととしています。

難しくいうとこういうことですが、あとでもっとわかりやすく解説しますね。

ということで、遺産分割の場合も許可不要で×となります。

じゃあ、次の過去問行きますよ。


平成28年、問22
相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合も、同項の許可を受ける必要はない。


答えは×

理由は、相続・包括遺贈・相続人に対する特定遺贈により農地を取得する場合については3条許可は不要ですが、相続人以外の者への特定遺贈については原則通り、3条許可が必要だからなんです。

と、まあ参考書にはこのあたりくらいまでしか理由は書いてないでしょうね。
ロッキーさんは、
どちらも相続であり、遺言、遺産分割での配分だと思いますが、
なぜ許可が違うのでしょうか?

と思ったんですよね。
ごもっともです。
さっきまでの解説だと、この疑問ははれないですよね。

これですね、はっきりと理由が書かれているわけではないので何が正解かはわかりませんが、実務的な観点からある点が違うということをご指摘したいと思います。

今回3つの単語が出てきましたね

・相続
・遺産分割
・特定遺贈

この3つ、どれも遺産を取得する手続きであることには変わりないんですが、特定遺贈だけ違う部分があります。
さて、何でしょうか。
これがわかれば、相続はかなりマスターしているということになりますね。

ヒント行きますよ。

さっきの過去問よく読んでください。
「相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合」

この部分、なんでわざわざ「相続人に該当しない者に対する」って書いてあるかわかりますでしょうか。


簡単に言いますよ。
特定遺贈は「相続人のような責任を負わない」からです。

農地法の許可が不要になる
遺産分割・相続・包括遺贈

これらはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含めて相続の対象になってきます。

まず、相続や遺産分割で財産を取得できる人って法定相続人に限られます。
もしも亡くなった人に預金だけじゃなく借金もあった場合、法定相続人は借金についても相続することになります。


包括遺贈とは「相続財産の半分をAさんに遺贈する。」みたいな感じで相続財産の全部又は、一定の割合で指定して行う遺贈のことをいいます。

この場合は、実質的には相続人と同一の権利義務を負うことになるので、もし遺贈者に借金などのマイナス財産があれば、遺贈された割合に従ってマイナスの財産も引き受けなければならないんです。

ちなみに、遺贈は誰にでもできます。法定相続人にもできますし愛人にもできます。

つまりですね、相続も遺産分割も包括遺贈も、必ずしもうれしいというわけじゃないんです。
農地を取得したとしても、一緒に借金が付いてくることも十分あり得るわけです、この人たちは。

但し、特定遺贈の場合は違うんです。
特定遺贈というのは
「東京都東大和市○○1丁目○番地の農地をBに遺贈する。」といった感じで、遺贈する財産を指定して行う遺贈のことをいいます。

特定遺贈は包括遺贈とは違って、特に遺言で指定をされていなければ借金などのマイナス財産を引き継ぐことはありません。

「相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合」

って書いてあるのは、特定遺贈を受ける人が法定相続人なら、そもそも借金についても相続する立場にあるからです。

つまり、
「相続人に該当しない者に対する特定遺贈」
というのは、農地をもらえるだけのラッキーな人というということなんです。

ロッキーさんは
どちらも相続であり、遺言、遺産分割での配分だと思いますが、なぜ許可が違うのでしょうか?
ということですが、これは遺産の分け方の方法や手続きによる違いというよりは、

「特定遺贈で相続人に該当しない者」というのがどういう人なのかということを具体的に想像するとわかるということです。
要するに特定遺贈というのは、人の死亡によって農地を取得することではあるものの、限りなく贈与に近い手続きということなんです。

贈与ってただでもらうことで、農地法の許可いりますよね。

特定遺贈も同じです。死亡時にタダでもらうというだけでほとんど同じなので、許可いるということです。


ロッキーさんお分かりいただけたでしょうか。
これは内容的にはハイレベルな質問ですが、実は過去問で何度も出ているので、ここは押さえておく必要があります。
ご質問ありがとうございました!
わからなかったという方も、この手の問題は出る可能性があるので、時々復習して思い出しておくことをお勧めします。
ということでではまた。


posted by 棚田行政書士 at 10:30| 東京 ☔| Comment(1) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
質問させていただきます。
なぜ相続人は特定遺贈でも三条許可は不要なのでしょうか?
特定の財産だけ指定された場合は負の財産は相続しないことになるのですよね?
Posted by なお at 2025年08月13日 16:55
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