ということで、宅建試験の権利関係の中で合格者と不合格者の正解率が大きく開くといわれているのが、第三者と対抗要件の問題です。
簡単に言うと、どっちが勝つか問題ですね。
これはですね、一見するとややこしく見えるんですけど、実は具体的な状況をイメージできるとそこまで難しくないんです。
今回取り上げる問題も非常に重要なので、ぜひ解き方のポイントを学んでいってください。
こんなご質問をいただきました。
クボケイ さん
いつも分かりやすいご説明ありがとうございます。
対抗要件の過去問で質問したいのですが、
H19 問6 C
では、登記しなければ第三者に対抗できない。
となりますが、反対に
H22 問4 Bでは
登記がなくても第三者に対抗することができる。
とあります。よく分かりません。
そもそもH22年の過去問はAはCからみて第三者にならないのでしょうか?
かなり混乱しております。
もしお時間あれば、ご教授いただけると幸いです。
ということで、今回のテーマにまさに相応しい質問ありがとうございます、まさにお手本のようなご質問でございます。
では、1つずつまずはやってみましょう。
H19 問6
4 取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
はいどうでしょうか。
答えは〇
時効取得者と時効完成後の第三者の関係は、対抗関係になるので登記を先に備えた方が勝ちます。よって、時効取得者は登記がないと時効完成後の第三者に対抗することはできません。判例
要するに登記がなければ対抗できないっていう有名なやつですね。
知らなかったという方、ここに書いてあります。
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
これとにかく基本なので絶対に覚えてください。登記がないと勝てません。
ただ、この知識を覚えた後だと、次の問題に逆に引っかかる可能性があります。
いきますよ。
H22 問4
【問 4】 AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているときには、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
はいどうでしょうか。
この手の問題は過去に宅建試験で何度も出てきているんですが、不合格者は何度もひっかかって失点しています。
これ答えは〇なんです。
え、登記がないと対抗できないって聞いたよ。って思いますよね。
これわかりやすく説明しますね。
まず、一般的な解説としてはこんな感じになります。
Aは、取得時効の進行中に売買によりBから甲土地の所有権を取得しているので、「いわゆる時効完成前の第三者」にあたります。よって、Cは登記がなくても、Aに対して時効による所有権の取得を主張することができる(判例)
おそらく多くの問題集の解説はこんな感じかと思います。
これじゃ意味わかんないですよね。クボケイさんが混乱するのもわかります。
だから、不動産大学流に明快に解説します。
まずこの問題は問題文だけ読むと非常にややこしく感じるのですが、具体的な状況に置き換えて考えることが重要です。
これどういう状況かイメージできてますか?
すごいヤバい状況ってわかってますか?
解説します。
3 Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているときには、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張しているって書いてありますよね、
所有権を時効で取得するにはどうすればいいんでしたっけ覚えてますか?
第162条【所有権の取得時効】
@ 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
A 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
今回の問題は、この際どっちの取得時効でも関係ありません、重要なのはこの部分、「平穏にかつ公然と他人の物を占有した者」
って書いてありますよね、つまり、Cは甲土地を「平穏にかつ公然と他人の物を占有しているということなんです。
じゃあいつ占有しているのか、
「取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているとき」
これどういう状況かわかります?
Cが平穏にかつ公然と甲土地を使用している状況なのに、AはBから甲土地買っているんですよ。
かなりのチャレンジャーですよね。
まずCに占有すんのやめろっていうのが順番ですよね。
だってBから土地買っているのに、占有しているのはCなんですよ、そんな土地ヤバいですよね 買わないですよね、完全にいわくつき物件です。
さらにびっくりするのが、売買契約成立して登記した後に時効完成しているって言ってますよね。
これどういうことかわかります?
A自分が買った土地をCが占有している状況をそのまま放置していたってことですよ。
すみません、言わせてくださいAあほです。
だめですよ、平穏にかつ公然と占有させてる場合じゃないでしょ。自分で買った土地なんだから、やめさせなきゃダメです。
ちなみに、Aが先に登記しているからAが勝ちではと思うかもしれませんが、ここがポイントなんですが、Aが登記している段階ではCはまだ時効が完成していません、つまり、Cは登記できる状況じゃないんです。だから勝ち負けを登記で判定しないんです。
最初の過去問の場合は、時効完成した後に第三者出てきてますから、登記できる状態なのに登記をしていなければ勝てません。
そういうことでございます。
時効完成前に第三者が出てくる問題については、現実的な状況を説明するとその第三者がかなりあほです。
時効が完成しようとしている危ない物件を自ら購入して、しかもそのあとも放置し続けて時効が完成するわけですから、もはや救いようがないというわけです。
クボケイさんお分かりいただけたでしょうか。
この手の問題は出る可能性すごく高いですが、絶対に正解してください。ということで ではまた。

