8種制限の中でも、実務で非常に重要になってくるのが手付金の保全です。
手付金等保全措置とは、売主である業者が倒産した場合でも、買主が業者に渡した手付金は必ず戻ってくるようにする制度です。
売買契約締結日以後、物件の引渡しまでの間に支払われる金銭で、最終的に代金に充当されるものを指します。
だから名目は手付金の他、内金、前金、中間金、残代金といったものでも可能です。
物件の引渡し以後(引渡し自体そのタイミングも)に支払われる金銭は、保全措置を講じなくても受け取ることが可能です
k t さん
いつも分かりやすい動画ありがとうございます。
手付金の保全措置の分野で質問があります。
指定保管機関による保管が完成物件はokなのに対して、未完成物件がNGなのはなぜですか?
時間がありましたら教えて下さい!
ということで、まず手付金の保全措置には3つの方法があります。
・銀行等との保証委託契約
銀行等に連帯保証人になってもらうという方法があります。売主である業者が買主に対して手付金等の返還債務を負った場合、連帯保証人である銀行などが代わりに払うという制度です。
具体的には、銀行等が買主に、連帯保証人になる旨を記した書面(連帯保証書)を交付した時点で保全措置が講じられたことになります。
・保険会社による保証保険
売主である業者が買主に対し手付金等の返還債務を負うと、買主は売主の代わりに保険会社へ保険金の支払請求をすることができます。
保険金という形で、手付金に相当する金額を受け取る制度です。
・指定保管機関等による保管
この方法では、売主は買主から受け取った手付金等を指定保管機関等(信用保証株式会社や宅地建物取引業保証協会等)に預かってもらうことで、売主が買主に対し手付金等の返還債務を負った場合、指定保管機関等が預かった手付金を買主に返還するということになります。
ただ、この方法だと、指定保管機関等による保管は、工事完了後の宅地建物の売買契約でなければとれません、
今回のご質問は、これが何でなのかってことですよね。
これですね、正式に理由が発表されているわけではありませんが、業界経験者で結構上の役職の人であればわかるんじゃないでしょうか。
結構この疑問重要ですよ。
銀行と保険会社と、指定保管期間は大きな違いが2つあります。
それは、
手続きが簡単だということと
預かった手付金が使えるかどうかっていう問題です
まず手続き的に保管期間の保全措置が一番簡単なので、できればこの方法でやりたいわけです。特に中小企業は。
そのうえで、問題になるのが手付金の使い道です。
1と2の方法であれば、預かった手付金は宅建業者の懐にある状態になるので、すぐに使うことができます。
手付金ってつかわれるのって、思った人いるかもしれませんが、中小企業なんかはキャッシュフローの問題で受領した手付金をすぐに工事費用に充てるケースはよくあります。
ところが、3の場合は預かった手付金は保管期間に行ってしまうので宅建業者がすぐに工事費用として使うことができません。
そうするとどうなるかというと、手続きが簡単だから指定保管期間を使って保全措置を講じたものの、建築中に資金繰りが悪くなり工事費用が捻出できなくて倒産という可能性が出てくるのです。
要するに未完成物件の場合に宅建業者が指定保管機関による保管という方法を利用すると、それ自体が原因となって工事が未完成に終わるリスクがあるからです。
つまり、受領した手付金等を工事の費用に充てることができないのです。
そのため、工事に必要な資金が得られず、工事が未完成に終わるリスクが高まるのです。
消費者を保護するために、宅建業者がみだりに未完成物件を売買できないように、保全措置の方法の中でも最もお手軽な指定保管機関による保管は使えないようにした、ということです。
ちなみに、保全措置が不要になるケース覚えていますか?
大丈夫ですか。
・未完成物件の場合、手付金等の額が代金の5%以下かつ1000万円以下
・完成物件の場合、手付金等の額が代金の10%以下かつ1000万円以下
それから
・買主への所有権移転登記がされたとき
この3つです。覚えておきましょう
ということでではまた。