2020年04月07日

貸借の媒介契約書が不要なのはなぜ?

貸借の媒介契約書
書面の交付が不要なのなんでなの編

ということで、宅建業法の得点源の一つに媒介契約があります。
実は媒介契約に関する問題は、ほぼ毎年1問出題されていますので、ちゃんと勉強していれば1点とれる分野です。
得点源なんですが、実務を知らないと意外に理解がしにくい分野でもあるので、今回はこの媒介契約について
徹底的にやっていきたいと思います。

そこで今回はこの方の疑問にお答えしたいと思います。

Yaruki Master さん
毎日不動産大学を受講することが楽しいです。これからも頑張ってください。
ところで、媒介契約書の貸借はなぜ書面の交付は不要なのでしょうか。貸借の媒介報酬は発生するのに契約書がないのはちょっと不思議です。今までは機械的に丸暗記していましたが、何か理由があれば教えてください。よろしくお願いします。

はい、この疑問ですが、媒介契約書について勉強した方であれば、なぜだろうって思った人多いんじゃないでしょうか。

今回はこの疑問にズバリお答えします。

まず媒介契約ってわかりますか?

ここに誤解があると全部間違えちゃうので気を付けてください。

媒介契約というのは、不動産の売買や賃貸契約を成立するために、
募集行為などを不動産会社に依頼する契約のことを言います。

一言でいうと、買主もしくは借主を見つけることを依頼する契約のことです。

普通、一般の人が自力で買主や借主を見つけるのは難しいですよね、通常は不動産会社に依頼をします。

その時に交わす契約所が媒介契約書です。

で、本題はここからです。

宅建業法では
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の「売買又は交換」の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

と規定しています。

今回のテーマは、なぜ売買と交換だけで貸借の場合書面が義務化されていないのか、という点ですね。

前回の転貸の動画見た方はピンと来たのではないでしょうか。

答え言いますよ。ズバリ金額と継続性です。


出ました継続性。


売買・交換と貸借との一番の違い、それは取引の継続性です。
売買や交換はその場、その場で取引の相手が異なりますし、金額も高額なので媒介契約を書面で結んで証拠として取っておかないと、裁判沙汰になる可能性もあるわけですよ。

例えば2,000万円のマンションの媒介を依頼した場合の報酬額って、いくらになるかわかりますか?726,000円ですよ。

かなり大きいですよね。
これに対して賃貸は家賃が10万円だとしていくらかわかりますか?
媒介であれば5万円の消費税で55000円、同意があれば最高で一方から11万円ですよ。

このように金額が売買や交換と貸借で大きく異なるという点が1点。

そしてもう1点が継続性。

基本的に売買や交換というのは、かなり多くの不動産を持っている人でなければ、基本的に何度も継続して媒介を依頼するということはないですよね。

対して貸借の場合は、アパートやマンションを保有している以上、毎年、物件によっては毎月のように退去が出るたびに媒介を依頼することになるので、継続的に同じ不動産会社に依頼することが多いわけです。

取引に継続性が生まれると、お互いの思い違いによるトラブルは起きにくくなります。
売買に比べて何より大した金額ではないのでその都度媒介契約をする方が大変になります。

つまり、貸借の媒介は少額かつ継続性があるので、紛争が起きにくい。だから書面は義務化されていない。
ということです。

なんでも書面を義務化すると、取引が円滑にいかなくなることもあるので、いらないものは義務化しないのです。

もしも貸借の媒介契約書が義務化されると、部屋探しにいった不動産屋でその都度売買契約の前に媒介契約書にサインしなければならなくなるので大変ですよ。

そういうことです。


Yaruki Master さんお分かりいただけたでしょうか。


じゃあ、問題でどんな風に聞かれるのかやってみましょう。

宅建業者は、Aが所有する宅地の貸借に係る媒介の依頼を受け、Aと専任媒介契約を締結した。このとき、宅建業者は、Aに法第34条の2第1項に規定する書面を交付しなければならない。

はいどうでしょう。

答えは×ですよ。

交付義務はありませんよ。


じゃあもう1問いきますよ。

宅地の売買に係る媒介の依頼を受けて専任媒介契約を締結した場合、宅建業者は宅地建物取引士に記名押印させて交付しなければならない。

はいどうでしょう。

答えは×ですよ。

これ結構重要です。なぜ×なのでしょうか。

媒介契約書には宅建士の記名押印は求められていません。
宅建業者の記名押印でいいんですよ。会社の捺印です。重要事項説明書とかと混同しないでください!


今日もこの時間がやってきました。


今日は媒介契約についてやっていきましょう。


クイズ宅建タイムショック

1:宅地建物取引業者Aは、宅地建物取引業者Bから宅地の売却についての依頼を受けて代理契約を締結した時、書面交付は必要?


必要 業者間の取引であっても、代理契約書の交付を省略することはできません。

2:
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却に係る媒介を依頼された場合、 法第34条の2第1項に規定する書面には、売買すべき価額の記載は必要?

必要 媒介契約書には「売買すべき価額」を記載しなければいけません。

3:宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却に係る媒介を依頼されて専任媒介契約を締結した場合、当該宅地の売買の媒介を担当するAの宅地建物取引士は、法第34条の2第1項に規定する書面に記名押印する必要はある?

ない 媒介契約書に記名押印する義務があるのは宅建業者であって取引士ではありません。

4:宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却に係る媒介を依頼されて専任媒介契約を締結した。その後売買契約が成立した場合、いつその旨を指定流通機構に通知する必要がある?

売買契約が成立後、遅滞なく、指定流通機構に通知しなければなりません。

5:宅地建物取引業者が宅地の売却の媒介依頼を受け、依頼者との間で一般媒介契約 を締結した場合に、当該媒介契約の内容を記載した書面には契約の有効期間の記載は必要?

必要 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介関係なくについては有効期間(契約期間)については媒介契約書に記載しなければなりません。







posted by 棚田行政書士 at 18:34| 東京 ☀| Comment(0) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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