2022年05月31日

準都市計画マスター 2022編

準都市計画マスター 2022編

あいさつ

ということで、ついに法令上の制限がスタートして続々とご質問をいただいております。
今回は試験でよく出やすい準都市計画区域を徹底的に掘り下げていきたいと思います。
まず都市計画法を学習する時は、イメージが重要だという話を以前しました。
そのイメージがこちらです。
日本の国土はこの5つの区域に分けられます。
学習をするときは、このうちのどこの区域のことを学ぶのかということを強く意識して学習をすることで、
知識がごちゃごちゃになることを防げます。
ちゃんと頭の中の引き出しに整理して知識を入れられるようになります。
準都市計画区域とはこれでございます。

前回の動画で準都市計画区域はインターチェンジという話をしましたが、
実はそれだけだとちょっと知識が弱いんです。

実はここ、多くの受験生を混乱させるような問題がよく出題されてきているんです。
ちょっと過去問やってみましょう。

令和02年12月問15
準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることができないこととされている。

×

準都市計画区域について、都市計画に定めることができるのは、以下の地域又は地区に限られます。
ちなみに、準都市計画区域に定められる都市計画は、全部で8種あります。

・用途地域
・特別用途地区
・特定用途制限地域
・高度地区
・景観地区
・風致地区
・緑地保全地域
・伝統的建造物群保存地区

高度地区を定めることは可能です。
これですね、〇〇は準都市計画区域で定めることができる、とかって問題出たりするので、できるだけ覚えましょう。
もし暗記するんであれば、1冊の本にしましょう。

「用特特高景風緑伝 ようとっとこうけいふうりょでん」


さて、ここまでやったうえでコメントご紹介します。

久保さん
準都市計画区域についてですが、高度地区は定めることができるとのことですが、高度利用地区とごっちゃになってしまいます。
なぜ高度利用地区は定められないのでしょうか。教えてください

とのことでございます。

はい、実は同じようなご質問、過去累計でかなりいただいています。
これ混乱しますよね。

とても重要です。

この疑問を知る手がかりは、ズバリ、なぜ準都市計画区域という区域を作ったかということです。
不動産大学は法律や規制ができた意味を説明するのが好きなんです。
規制を作った背景がわかれば、謎がすべて解けます。


準都市計画区域はよく試験で出るので、今回マスターしていきましょう。


みなさん、準都市計画区域の定義覚えていますか?
準都市計画区域とは、放置すれば将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じる恐れがあると認められる一定の区域のことをいいます。
前回の動画で準都市計画区域とはズバリインターチェンジという話をしました。
今回は、ここをもう少し深くお話したいと思います。

準都市計画区域って聞くと、ちょっとした都市みたいに聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、都市として開発しないけど、規制をかけてコントロールする必要があるエリアという感じです。
これには2つの側面があります。
1つは、インターチェンジのように、将来インフラ整備をするために今のうちから規制をかけておいて好き勝手な利用をさせないようにする。

2つ目は、ズバリ、イオンモールキラーです。

詳しく説明しますね。

都市計画区域って、都市として開発するわけですから土地の価格って高くなるわけですよ。
特に市街化区域なんかは、
対してそれ以外の土地って、税金使って都市開発しないわけですから、土地は非常にやすいわけです。
じゃあ、もし準都市計画区域ってカテゴリがなかったらどうなるでしょうか。

都市にする予定はないけど、土地値はやすい、となると目をつけるのがイオンモールなんかの大型商業施設の事業者です。
私、イオンモール大好きで毎週いくんですけど、駐車場がすごく広いですよね。あれだけ広い敷地を取ろうとするとまず都心部じゃ無理ですよね。

・越谷レイクタウンの話。

東京にもイオンモールってなん店舗かありますけど、全部郊外です。
新宿区にイオンモール作ろうとしたら、用地仕入れに莫大な資金が必要になりますから、採算が合うわけがありません。

都市計画区域外は土地値がやすいわけですから、格安でイオンモール作れちゃうわけです。でっかいやつを。
そうなると、どうなると思います?
「やべ、イオンモールできた」って行って、みんな車で買い物にいくようになりますよね。

そうすると、徐々にイオンモールの周りに他のお店も勝手にできはじめてくるわけです。
しまいには、便利で安いからって言って、住宅街までできちゃう可能性もあります。

これ、都市計画を考えている役所の人間からするとすごい困るんです。

だって、そこ都市計画区域じゃないのに、勝手に都市みたいになっていっちゃったら、
インフラもないし、学校もちゃんと整備されていない場所に人が増えていくんですよ
まずいですよね
都市が分散すると、インフラ整備に余分な税金がかかっちゃうわけです。

つまり、準都市計画区域とは、都市計画区域の外にイオンモールを大量出店されて勝手に都市化されないようにかけている「規制」なんです。
だからイオンモールキラーなんです。

繰り返しますが、私はイオンモール大好きです。
別にイオンモールに限ったわけじゃありません、コストコやアウトレット、ららぽーと、いろいろありますが、あえて私が一番好きなイオンモールで例えております。

要するに準都市計画区域はイオンモールみたいなデカくて大きくて周辺環境に合わない建築物を規制したいというのが大前提なんです。

準都市計画区域なのになぜ、高度地区だけ設定できて、高度利用地区は設定できないのかということですが、

高度地区というのは、純粋に高さを決める規制です。
イオンモールいやだから、高さの規制かけたいじゃないですか、高い建物いやなんですよ。
だから高度地区は定めることができるんです。
ちなみに、高度地区というのは高さの最高限度、だけじゃなく、最低限度も定めることができますが、準都市計画区域では最低限度の規制は定めることができません。

なぜかわかりますか?最低限度って、大きな建物を建てさせたい時にする規制だからです。これよりも高く作れってことですからね。
準都市計画区域にそんな規制は不要だから、定めることができないとなっています。

対して、高度利用地区って何かわかりますか?

これ、かなり誤解している人多いんですが、高度地区の高度、と高度利用地区の高度って全く意味違います。
高度地区の高度って、高さのことを指しているじゃないですか。


対して、高度利用地区の高度って、高さじゃなくて、「高度なテクニック」ていう意味の高度です。
わかりやすくいうと、「高度なテクニックを駆使して、もっと発展させよう地区」のことを高度利用地区というのです。
全然意味違いますよね。

もう少し細かく言うと、市街地における合理的で健全な土地の高度利用と都市機能の更新を図る地区のことです。
具体的にこんな規制ができます。

1.容積率の最高限度と最低限度の指定
2.建ぺい率の最高限度の指定
3.建築面積の最低限度の指定
4.壁面の位置の制限の指定

いろいろありますが、要するにわかりやすくいうと
敷地をどんどん合体させて、建築物の大規模化するための規制なんです。

いわゆる高層マンションや高層ビルなどを建てるための都市計画です。
だから、近隣に再開発の終わっていない高度利用地区があれば、高い建物が建つ可能性が高いのでマイホームを買う時には注意が必要です。、

高度利用地区のそもそもの目的は、
分散している低層の建物をまとめてビルやマンションの高層化を進めることで

・防災などさまざまな機能の向上
・より多くの住居を確保する
・分散している施設をまとめる

ことを目的としています。

ということでこの規制、準都市計画区域に必要ですか?
笑っちゃうくらい真逆の規制ですよね。
準都市計画区域はイオンモールキラーですよ。高度利用地区定めている場合じゃないんです。

おわかりいただけましたでしょうか。

おまけ


ちなみに、準都市計画区域がイオンモールキラーである証拠が、イオンモールの株主投資家向けホームページに書いてあるのを見つけました。
すごく宅建試験の知識に関連するのでご紹介したいと思います。

当社グループは、地域行政と連携し、地域に根ざしたモール開発を進めておりますが、都市計画法および建築基準法により、1万uを超える大型店の出店できる地域は、同法により商業地域、近隣商業地域、準工業地域として指定された区域以外の用途地域においては、原則として大型店を開発することができず、また非線引き都市計画区域及び準都市計画区域内の白地地域(一般には、都市計画区域および準都市計画区域内で、「用途地域」の定められていない地域(市街化調整区域を除く。)のことをいいます)において大型店の開発を行うには、都道府県知事等により用途地域の指定又は用途を緩和する地区計画決定がなされることを要します。





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2022年05月30日

誤解する人が多い有効期間のひっかけ問題編

誤解する人が多い有効期間のひっかけ問題編

あいさつ

ということで宅建試験の知識の中には様々な有効期間が出てきます。
何か月以内とか何年以内とか、覚えるの大変ですよね。
ただ、こういった有効期間の問題、期間だけ覚えていても思わぬところでひっかけられることがあるので注意が必要です。

今日も素晴らしい質問をいただいたので、まずはちょっとこの過去問から一緒にやってみましょう。

令和01年問31
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の既存のマンションの売却に係る媒介を依頼され、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

イ AがBとの間で有効期間を6月とする専任媒介契約を締結した場合、その媒介契約は無効となる。

×

この問題、○だと思った方、本番で1点落とす可能性があります。
また理由がわからないという人も、ここから先よく聞いてください。
このままコメント紹介します。

RiMaさん
質問です。
令和1年問31の選択肢イですが、
宅建業者Aがマンションの売却にまつわる媒介をAに依頼したBとの間で有効期間を6月とする専任媒介契約を締結した場合、その媒介契約は無効となる。
この答えが誤なのですが、専任媒介契約の有効期間は3ヶ月を超えることができません。と解説に書いてあります。
であれば無効になるので答えは正ではないのでしょうか。
混乱しております、助けてください!

はい、この方の言いたいことわかりますでしょうか。
専任媒介の有効期間が3ヶ月なのはわかると、だったら6か月なんて専任倍愛契約書に書いたら無効じゃないのって思ったってことですよね。

はい、これ同じように考える人けっこういるので気を付けてください。

解説します。

専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができません。ここはいいですよね。
これ実務で超重要です、というか常識です。
ただ重要なのはこの先です。
ちょっと条文を読みます。

宅建業法34条の2第3項
依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。

そうなんです。3ヶ月を超える長い期間を定めた場合というのは、契約期間が無効になるんじゃなくて3ヶ月になるということです。

だから、あほな営業マンが有効期限を6か月とする専任媒介契約書を締結してきた場合は、
「おまえ無効じゃないか」って上司がしかるのは間違いです。上司もあほになります。
「これ有効期間3ヶ月になるからな」と教えるのが正しいです。媒介契約が無効になるわけではありません。

実はこれについて、コメント欄で親切に教えてくれた人がいます。

歯抜けの瀬川瑛子さん
RiMaさんへ
無効にならず、強制的に3ヶ月になる。
越えた所は無効となるのです。

とのことでフォローありがとうございます。

今回なぜこの選択肢を取り上げたかといいますと、過去30年の間に専任媒介の有効期間に関する問題が11回も出題されているからです。
3回に1回は出ている問題なので侮ってはいけません。

ということでここで強化しておきましょう。

平成29年問43
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古マンションの売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではない媒介契約)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

イ 当該専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができず、また、依頼者の更新しない旨の申出がなければ自動更新とする旨の特約も認められない。ただし、Bが宅地建物取引業者である場合は、AとBの合意により、自動更新とすることができる。

×

専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができません。
そして、ここ重要ですが、専任媒介契約を更新できるのは、
契約終了時に依頼者の申出があった場合だけです。
ここについては別途合意が合っても自動更新にはできません。
絶対ダメです。
これBは業者だということでひっかけようとしてますが、関係ありません。媒介契約について相手が業者だからと言って特別扱いはしません
これ、別途合意があれば自動更新できる、なんてことにしてしまうと、おそらくすべての媒介契約書に自動更新の文言が記載されることになって、自動更新が原則みたいになっちゃいます。
実務やるとわかるんですが、3ヶ月ごとに専任媒介契約書を交わしなおすの面倒なんですよ。
だから自動更新にしたくなるんですが、それはできないということになっています。

専任媒介の有効期間と更新については、実務でも常識レベルで重要なことなので絶対に間違えないようにしましょう。
ということでまた明日。

posted by 棚田行政書士 at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

非常災害の応急措置ってなに編

非常災害の応急措置ってなに編

あいさつ

ということで、そろそろ学習がスムーズに言っていると法令制限の開発許可あたりをやっているんじゃないでしょうか。
今日は、誰もが疑問に思っているはずなんだけど、どこにも書いてなくて人にも聞けなくて放置しているあの知識について、
深堀して理解を深めていきたいと思います。


令和02年12月問16
市街化調整区域において、非常災害のため必要な応急措置として8,000uの土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。

×

まず開発許可の問題を解く前に、不動産大学の一番のヒット覚え歌を聞いて復習してみましょう。
こちらです。


次のの目的で行う開発行為は、区域や面積に関係なく開発許可は不要です。
歌で全部出てきていますよ。

@ 公益上必要な一定の建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
A 都市計画事業・土地区画整理事業・市街地再開発事業の施行として行う開発行為
B 非常災害のための応急措置として行う開発行為
C 通常の管理行為、軽易な行為
よって、非常災害のため必要な応急措置に該当するので許可不要です。

ちなみに、これら以外の開発行為だった場合だと、市街化調整区域なので開発許可は必要です。
さて、ここで今日のコメントご紹介したいと思います。

ch 2nd さん
質問です!!!!
問題文の中に、非常時災害の為に必要な応急措置として行う建築物と出てきました。これは具体的にどんな建物なのでしょうか?
お時間ある時にご教示お願い致します。

はい、許可不要に出てきますよね。これ。
とりあえず非常災害ときたら許可不要って覚えていませんか?
具体的に聴かれてもわからない、という人多いんじゃないでしょうか。
非常災害の応急措置って、過去30年間で5回出題されています。
たまに出るって感じですね。

まず結論からいうと、非常災害の応急措置を具体的に選択肢で聴いてくる問題はたぶん出ないと思います。
過去も私が調べた限りではありませんでした。
というのも、私も都市計画法や解釈などの資料をいろいろ探しましたが、ここについて具体的に触れているものはほとんどありませんでした。

おそらくこれに該当するかどうかはケースバイケースなので、具体的に聴かれることはないと思うのですが、
知識を定着させるために今日はここ深堀します。

私が調査したところ、非常災害の応急措置に該当するかどうかのポイントは2つあります。

ポイント1:非常災害の定義
ここでいう非常災害とは、単発的な火災等をいうのではなく、一定の区域をもって発生す
る災害をいうものとし、原則として建築基準法第85条第1項の規定により特定行政庁が指定
する区域内における災害応急措置が該当するものとする。

ア 災害、災害対策基本法第2条第1号
(ア) 災害、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、その他の異常な自然現象
(イ) 大規模な火事、若しくは爆発
(ウ) 放射性物質の大量の放出、多数の者の避難を伴う船舶の沈没、その他の大規模な事故

イ 建築基準法第85条第1項
非常災害があった場合において、その発生した区域又はこれに隣接する区域で特定行政
庁が指定するものの内においては、災害により破損した建築物の応急の修繕又は次の各号
の1に該当する応急仮設建築物の建築で、その災害が発生した日から1月以内にその工事
に着手するものについては、建築基準法令の規定は適用しない。ただし、防火地域内に建
築する場合については、この限りではない。

1 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの。
2 被災者が自ら使用するために建築するもので、延べ面積が30u以内のもの。

間取り
https://www.mlit.go.jp/common/000140853.pdf

要するに仮設住宅ですね。
実は東日本大震災があった平成23年当時、仮設住宅の建設を急ぐ必要があった時に、国交省から東北の自治体に出された文書を見つけたんですが、そこにはこんなことが書かれていました。

「都市計画法に基づく開発許可についても、応急仮設住宅の建設に際し
ては、同法第29条第10号又は同法第43条第1項第2号の非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為に該当す
るところにより、許可を要しないと解されている。 」

要するに、仮設住宅は都市計画法の許可不要だから、さっさと用地を選定して仮設住宅を建てなさいということだと思います。

こんな感じですね。
おわかりいただけましたでしょうか。

おまけ

平成25年問16
非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為であっても、当該開発行為が市街化調整区域において行われるものであって、当該開発行為の規模が3,000u以上である場合には開発許可が必要である。

×

同じような問題がよくでるので必ず得点しましょう。ということでまた明日。
posted by 棚田行政書士 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする