あいさつ
ということで、ついに法令上の制限がスタートして続々とご質問をいただいております。
今回は試験でよく出やすい準都市計画区域を徹底的に掘り下げていきたいと思います。
まず都市計画法を学習する時は、イメージが重要だという話を以前しました。
そのイメージがこちらです。
日本の国土はこの5つの区域に分けられます。
学習をするときは、このうちのどこの区域のことを学ぶのかということを強く意識して学習をすることで、
知識がごちゃごちゃになることを防げます。
ちゃんと頭の中の引き出しに整理して知識を入れられるようになります。
準都市計画区域とはこれでございます。
前回の動画で準都市計画区域はインターチェンジという話をしましたが、
実はそれだけだとちょっと知識が弱いんです。
実はここ、多くの受験生を混乱させるような問題がよく出題されてきているんです。
ちょっと過去問やってみましょう。
令和02年12月問15
準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることができないこととされている。
×
準都市計画区域について、都市計画に定めることができるのは、以下の地域又は地区に限られます。
ちなみに、準都市計画区域に定められる都市計画は、全部で8種あります。
・用途地域
・特別用途地区
・特定用途制限地域
・高度地区
・景観地区
・風致地区
・緑地保全地域
・伝統的建造物群保存地区
高度地区を定めることは可能です。
これですね、〇〇は準都市計画区域で定めることができる、とかって問題出たりするので、できるだけ覚えましょう。
もし暗記するんであれば、1冊の本にしましょう。
「用特特高景風緑伝 ようとっとこうけいふうりょでん」
さて、ここまでやったうえでコメントご紹介します。
久保さん
準都市計画区域についてですが、高度地区は定めることができるとのことですが、高度利用地区とごっちゃになってしまいます。
なぜ高度利用地区は定められないのでしょうか。教えてください
とのことでございます。
はい、実は同じようなご質問、過去累計でかなりいただいています。
これ混乱しますよね。
とても重要です。
この疑問を知る手がかりは、ズバリ、なぜ準都市計画区域という区域を作ったかということです。
不動産大学は法律や規制ができた意味を説明するのが好きなんです。
規制を作った背景がわかれば、謎がすべて解けます。
準都市計画区域はよく試験で出るので、今回マスターしていきましょう。
みなさん、準都市計画区域の定義覚えていますか?
準都市計画区域とは、放置すれば将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じる恐れがあると認められる一定の区域のことをいいます。
前回の動画で準都市計画区域とはズバリインターチェンジという話をしました。
今回は、ここをもう少し深くお話したいと思います。
準都市計画区域って聞くと、ちょっとした都市みたいに聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、都市として開発しないけど、規制をかけてコントロールする必要があるエリアという感じです。
これには2つの側面があります。
1つは、インターチェンジのように、将来インフラ整備をするために今のうちから規制をかけておいて好き勝手な利用をさせないようにする。
2つ目は、ズバリ、イオンモールキラーです。
詳しく説明しますね。
都市計画区域って、都市として開発するわけですから土地の価格って高くなるわけですよ。
特に市街化区域なんかは、
対してそれ以外の土地って、税金使って都市開発しないわけですから、土地は非常にやすいわけです。
じゃあ、もし準都市計画区域ってカテゴリがなかったらどうなるでしょうか。
都市にする予定はないけど、土地値はやすい、となると目をつけるのがイオンモールなんかの大型商業施設の事業者です。
私、イオンモール大好きで毎週いくんですけど、駐車場がすごく広いですよね。あれだけ広い敷地を取ろうとするとまず都心部じゃ無理ですよね。
・越谷レイクタウンの話。
東京にもイオンモールってなん店舗かありますけど、全部郊外です。
新宿区にイオンモール作ろうとしたら、用地仕入れに莫大な資金が必要になりますから、採算が合うわけがありません。
都市計画区域外は土地値がやすいわけですから、格安でイオンモール作れちゃうわけです。でっかいやつを。
そうなると、どうなると思います?
「やべ、イオンモールできた」って行って、みんな車で買い物にいくようになりますよね。
そうすると、徐々にイオンモールの周りに他のお店も勝手にできはじめてくるわけです。
しまいには、便利で安いからって言って、住宅街までできちゃう可能性もあります。
これ、都市計画を考えている役所の人間からするとすごい困るんです。
だって、そこ都市計画区域じゃないのに、勝手に都市みたいになっていっちゃったら、
インフラもないし、学校もちゃんと整備されていない場所に人が増えていくんですよ
まずいですよね
都市が分散すると、インフラ整備に余分な税金がかかっちゃうわけです。
つまり、準都市計画区域とは、都市計画区域の外にイオンモールを大量出店されて勝手に都市化されないようにかけている「規制」なんです。
だからイオンモールキラーなんです。
繰り返しますが、私はイオンモール大好きです。
別にイオンモールに限ったわけじゃありません、コストコやアウトレット、ららぽーと、いろいろありますが、あえて私が一番好きなイオンモールで例えております。
要するに準都市計画区域はイオンモールみたいなデカくて大きくて周辺環境に合わない建築物を規制したいというのが大前提なんです。
準都市計画区域なのになぜ、高度地区だけ設定できて、高度利用地区は設定できないのかということですが、
高度地区というのは、純粋に高さを決める規制です。
イオンモールいやだから、高さの規制かけたいじゃないですか、高い建物いやなんですよ。
だから高度地区は定めることができるんです。
ちなみに、高度地区というのは高さの最高限度、だけじゃなく、最低限度も定めることができますが、準都市計画区域では最低限度の規制は定めることができません。
なぜかわかりますか?最低限度って、大きな建物を建てさせたい時にする規制だからです。これよりも高く作れってことですからね。
準都市計画区域にそんな規制は不要だから、定めることができないとなっています。
対して、高度利用地区って何かわかりますか?
これ、かなり誤解している人多いんですが、高度地区の高度、と高度利用地区の高度って全く意味違います。
高度地区の高度って、高さのことを指しているじゃないですか。
対して、高度利用地区の高度って、高さじゃなくて、「高度なテクニック」ていう意味の高度です。
わかりやすくいうと、「高度なテクニックを駆使して、もっと発展させよう地区」のことを高度利用地区というのです。
全然意味違いますよね。
もう少し細かく言うと、市街地における合理的で健全な土地の高度利用と都市機能の更新を図る地区のことです。
具体的にこんな規制ができます。
1.容積率の最高限度と最低限度の指定
2.建ぺい率の最高限度の指定
3.建築面積の最低限度の指定
4.壁面の位置の制限の指定
いろいろありますが、要するにわかりやすくいうと
敷地をどんどん合体させて、建築物の大規模化するための規制なんです。
いわゆる高層マンションや高層ビルなどを建てるための都市計画です。
だから、近隣に再開発の終わっていない高度利用地区があれば、高い建物が建つ可能性が高いのでマイホームを買う時には注意が必要です。、
高度利用地区のそもそもの目的は、
分散している低層の建物をまとめてビルやマンションの高層化を進めることで
・防災などさまざまな機能の向上
・より多くの住居を確保する
・分散している施設をまとめる
ことを目的としています。
ということでこの規制、準都市計画区域に必要ですか?
笑っちゃうくらい真逆の規制ですよね。
準都市計画区域はイオンモールキラーですよ。高度利用地区定めている場合じゃないんです。
おわかりいただけましたでしょうか。
おまけ
ちなみに、準都市計画区域がイオンモールキラーである証拠が、イオンモールの株主投資家向けホームページに書いてあるのを見つけました。
すごく宅建試験の知識に関連するのでご紹介したいと思います。
当社グループは、地域行政と連携し、地域に根ざしたモール開発を進めておりますが、都市計画法および建築基準法により、1万uを超える大型店の出店できる地域は、同法により商業地域、近隣商業地域、準工業地域として指定された区域以外の用途地域においては、原則として大型店を開発することができず、また非線引き都市計画区域及び準都市計画区域内の白地地域(一般には、都市計画区域および準都市計画区域内で、「用途地域」の定められていない地域(市街化調整区域を除く。)のことをいいます)において大型店の開発を行うには、都道府県知事等により用途地域の指定又は用途を緩和する地区計画決定がなされることを要します。