2022年03月28日

宅建免許の種類と免許換え編

宅建免許の種類と免許換え編

あいさつ

さあ、不動産大学でもどんどん宅建業法に関する知識について毎日お届けしていきたいと思います。
今日やる宅建免許の免許換えの部分は超王道で必ず1点とるところなので、集中して覚えていってください。
また繰り返し見るとより記憶に定着します。
それでは行ってみましょう。


宅建業の免許について
不動産業を開業するために必要な宅建業免許は、管轄行政庁の違いによって「知事免許」と「大臣免許」に分かれます。
これは選べるというわけではなく、業者の本店と支店の所在地によって申請する免許の種類が決まります。

まず都知事の免許について解説します。


都道府県知事の免許
まず都道府県知事の免許ですが、これは1つの都道府県内のみに不動産業を営む事務所を設置する場合に必要な免許になります。
たとえば、東京都内に本店があって、その本店のみで営業するというときには、東京都知事の宅建業免許を申請して取得することになります。

また、東京都内に本店があって、同じ都内に宅建業を営む別の支店(または従たる事務所)があるというケースも、同一都道府県内に事務所が存在することになりますから、東京都知事の宅建業免許ということになります。
申請先は都道府県知事に直接します。
ちなみに、都知事免許で申請した場合、だいたい申請から1ヶ月前後かかるのが一般的かと思います。


国土交通大臣の免許
国土交通大臣の免許ですが、これは複数の都道府県に渡って不動産業を営む事務所を設置する場合に必要な免許です。

たとえば、東京都の本店で宅建業を営むほか、隣接する埼玉県や千葉県にも不動産業を営む支店(または従たる事務所)を設置するときは、国土交通大臣の免許を申請して取得することになります。
申請先は本店所在地の知事を経由して国土交通大臣に申請します。
経由する分こちらの方は審査に時間がかかります。
国土交通大臣の免許も、管轄の地方整備局がどこかによって多少異なりますが、申請から3、4ヶ月程度かかります。
大臣免許の方が時間がかかるんです。

こんなの簡単だよと思った方、
問題です。

東京本店宅建業 埼玉支店宅建業
さて何免許が必要?
大臣免許です。

東京本店宅建業 埼玉支店建設業
さて何免許が必要?
都知事免許です。

では最後の問題
東京本店建設業 埼玉支店宅建業
さて何免許が必要?

はい、わからないでしょ。油断しているとこういう聞き方されたときフリーズします。
答えは大臣免許です。

重要ポイント
本店は必ず宅建業法上の事務所となる点に注意が必要です。
つまり、会社の登記上の本店は、宅建業法上必ず「宅建業法上の事務所」と見なされます。

ですから東京に登記上の本店があるものの、そこでは建設業しかやっておらずく、埼玉支店でのみ宅建業を開業しようとする場合であっても、東京本店は宅建業を営む事務所と見なされますから、必要な宅建業免許は国土交通大臣の免許ということになります。

ということは当然それぞれの事務所ごとに専任の宅地建物取引士を設置しなければなりませんし、
本店、支店ともに供託金の供託または保証協会への入会を求められることになります。


そして審査が通るとこんな免許証が交付されます。

これが宅建免許の免許証です。見た目症状みたいな感じです。
宅建士の宅建士証とは全く別物です。宅建士証は名刺サイズのカードをラミネート加工したようなやつです。

この宅建免許証のレイアウト覚えてください。
・商号
・代表者の氏名
・主たる事務所の住所

が記載されています。
ということは、これらが変更になった場合には免許証の書換が必要になります。
免許証の有効期間は5年間です。
更新する際には更新手続きが必要です。
更新は有効期間満了の90日前〜30日前までの間に更新手続きをしなければなりません。

これを忘れると大変なことになります。(行政書士の話をする)

それから、事業を開始してから状況が変わると免許換えの手続きが必要になります。
ポイントはどこに申請するかです。

問題
都知事免許の業者が事業拡大して全国展開するので大臣免許に変えたい・・・本店の所在地の知事を経由して国土交通大臣に免許換えの申請
大臣免許の業者が事業縮小で都知事免許に変えたい・・・都知事に直接免許換えの申請
都知事免許の業者が神奈川に本店を移転したい・・・神奈川県知事に直接免許換えの申請

さて、では最後に問題です。

一定の状況になった際には、宅建免許を返納しなければなりません。
では次のうち免許の返納が義務ではないものはどれでしょう。

・免許換えで失効した免許証(新しい免許がもらえるから)
・免許取り消し処分を受けた
・免許の有効期間が満了した・・・義務なし
・紛失した免許証を発見した
・廃業の届出をした

有効期間が切れた場合は、返納義務はありません。そのまま宅建業者ではなくなります。
私実際このような形で宅建業を廃業する会社の手伝いをしたことがあって、免許返納する義務あるか役所に聞いたことがありますが、
そのまま放置でも大丈夫と言われました。期間満了で終わりですと言われました。

ちなみに、なぜこの問題を出したのかという宅建士証と運用が違うからです。
宅建士証も有効期間は5年ですが、こっちは満了したら返納しなければなりません。

ね、ひっかけやすいスポットなのでご注意ください。


それでは過去問いきますよ。

平成20年問30
A社(国土交通大臣免許)は、甲県に本店、乙県に支店を設置しているが、乙県の支店を廃止し、本店を含むすべての事務所を甲県内にのみ設置して事業を営むこととし、甲県知事へ免許換えの申請を行った。

〇か×か



A社はもともと、甲県に本店、乙県に支店があったので、国土交通大臣の免許でした。
そこから乙県の支店を廃止したので、今後は、甲県内のみの事務所になります。
ということで甲県知事免許になります。
必要な免許の種類が変わるので免許換えの手続が必要です。

おまけ

平成21年問26
宅地建物取引業者D(丙県知事免許)は、丁県内で一団の建物の分譲を行う案内所を設置し、当該案内所において建物の売買契約を締結する場合、国土交通大臣へ免許換えの申請をしなければならない。

×
はい、案内所は関係ありません。
「丁県に案内所を設置し」といっていますが、事務所は設置していないのでこの場合、免許換えは不要です。

ここはいろんな角度から問題出してきますので、どんな角度から聞かれても答えられるよう準備しておきましょう。
ということでまた明日。
posted by 棚田行政書士 at 16:00| 東京 ☁| Comment(0) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月25日

いすわり更新の疑問編

借地借家法いすわり更新の疑問編

まさひろ • 3 時間前
毎日動画拝聴しております。
突然で申し訳ありませんが、
質問から先に記載いたします。

Q
居座り更新について
借家について正当事由は必要でしょうか?

とのことでございます。


はい、実務でもこういう質問すごく多いですね。
これは借地借家法の重要知識で、実務でもすごく大切なので、今回解説したいと思います。
私が現役時代に、こんな質問を大家さんからされたことがあります。

「契約期間が満了したら退去してほしいと伝えていたのですが、居座られてしまって困っている」
こんな相談時々ありました。

さあ、皆さんが宅建士になったらこういう相談にびしっと解答してあげられなければ宅建士とは言えません。
答えられますか?

この質問をされたら、まず確認すべきことがあります。
それは、賃貸借契約の内容です。
建物の賃貸借契約は、普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約があります。
普通建物賃貸借契約の場合、大家さんが、契約を更新したくない、つまり契約期間が満了したら借主に出て行ってもらいたい場合は、
予め借主に対して、更新拒絶の通知をしなければなりません。
この更新拒絶の通知は、契約期間の満了の1年前から6か月前までにしなければなりません。

この通知は、この通知をしたこととこの通知が借主に届いたことを証明できるように、配達証明付きの内容証明郵便で送るりましょう。
証明できないと、争ったときに困ることになります。

ここまでよろしいでしょうか。
ところが、ここからがポイントです。

この流れを踏んで大家さんが更新拒絶の通知をしたのに
借主が契約期間終了時に建物に居座るっていうことがよくあるんです。

さて問題です。
この場合、大家さんはまずどうすればいいでしょうか。
宅建試験の知識でございます。
わかりますか?
答えはこちら

大家さんは、借主に対して、速やかに異議を述べなければなりません。
つまり、おかしいだろって主張するということです。
できるだけ早く、借主に、配達証明付き内容証明郵便で、直ちに退去するよう要求するということです。
そしてこのときに必要になるのが「正当事由」です。
要するに大家さんの言い分である異議には、正当事由がなければならないんです。
そして大家さんが異議を述べたけれども正当事由がなかったときは、
賃貸借契約は更新されてしまうんです。
法定更新です。

そうです。借主が保護されているんです。

もう少し詳しくいうと、大家さんが更新拒絶をしたくても、
次の全部の条件がそろわなければ更新拒絶できません。法定更新になります。

1:所定の期間内の更新拒絶の通知
2:契約期間の満了
3:遅滞なく異議の申し立てをすること
4:正当事由

ということで質問にお答えすると

Q
居座り更新について
借家について正当事由は必要でしょうか?

A:はい、正当事由は必要です。

ちなみに宅建試験的には正当事由って軽々しく聞こえるかもしれませんが、実務上はほとんど認められません。

借地借家法シリーズでもやりましたが、基本的に借地借家法は借主を保護するための法律なので
貸している側からの解除というのは、ほぼできないような状態です。
例えば、大家自身に家がなく、どうしてもそこを出ていってくれないと住むところがないとか、
地震で傾いていて安全上問題があるとか、そういうような場合じゃないと無理ですね。

おまけ

ちなみに、裁判上では高額の立退料などを相手に提示することで正当事由が認められやすくなったりします。

どうしてもこのマンションを明け渡してほしいという場合は、訴訟を提起することになりますが、基本的に難しいのが現状です。
もし将来的に自分で使いたいなどの事情がある場合については定期借家契約で結ぶようにしましょう。
ということでまた明日。
posted by 棚田行政書士 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月23日

慣れれば大丈夫令和03年問02連帯債務編

慣れれば大丈夫令和03年問02連帯債務編

あいさつ

連帯債務と聞くと・・・苦手意識を持つ人も 多いと思います。
今回やる令和3年問2は、これらの動画を先に見ておくと、より理解が深まると思います。
概要欄のリンクからどうぞ。

令和03年問02
債務者A、B、Cの3名が、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

はい、連帯債務の問題は必ず図に書くことをお勧めします。
こんな感じです。

ここは令和2年の法改正部分なので、重点的にいきますよ。


1:DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。



これは絶対効について聞いている問題です。
「裁判上の請求」とはすなわち「履行の請求」であり、これが絶対効かどうかを聴いている問題です。
答えは相対効なので、連帯債務者の一人であるAに対して裁判上の請求をしたとしても、
他の連帯債務者であるBとCにはその効力が及ばないんです。

ということはどうなるかというと、Aの債務の消滅時効は完成が猶予されますが、BやCの債務の消滅時効には影響はありません
つまり、時効の進行はとまらないということです。


2:BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。

×

ポイントはここです。Bが相殺を援用しない間に、ここです。
今回のように連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有するケースというのは、その連帯債務者が相殺を援用すれば、すべての連帯債務者の債務が消滅します。なぜなら、弁済したのと同じだからです。
ところが今回は相殺を援用していないといってます。
このケースでどうなるかが今回のポイントです。

BはDに対して300万円借金してます。でも、Bは、相殺を援用しないんです。
なんでお前援用しないんだよ、おれ損しちゃうじゃん、という状態です。

さあ、みなさんならどうするのが公平だと思いますか?
真剣に考えると民法知らなくても答えが出ます。

この場合どうなるかというとCは、Bの負担部分の範囲で履行を拒絶することが可能です
Bの負担部分というのはすなわち100万円です。
つまりどういうことかというと、

Cは、Dから「300万円支払え」といわれたら、Bの負担部分である100万円分については拒否できるので200万円払えばいいということです。
なんか平等な気がしませんか?

さて、選択肢がなんといっているかというと、「Cは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。」って飛んでもないこといってます。Bの債権を相殺する意思表示を勝手にするような権限はありませんので×となります。


3:DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。



はい、これは「債務の免除」の問題ですね。
これは絶対効ではありません。
ということは、連帯債務者の一人であるCに対して債務を免除したとしても、他の連帯債務者であるAとBには効力が及びません。

Cの債務を免除したことにより、CのDに対する債務は消滅します。しかし、AとBの債務には、全く変化がありません。Dは、AやBに対して、300万円全額の支払を請求することができます。


4:AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。



はい、更改ってなにか覚えていますか?
この部分です。

更改は絶対効ですが、具体例で説明します。
具体的にいうとAがDとの間で、「300万円の金銭を支払う代わりに、AのベンツをDに引き渡す。」という契約をすることです。
これが更改です。
こうなるとどうなるかというと、BやCがAのベンツを引き渡すことは不可能ですよね。
となると、連帯債務の関係を解消することになり、Aだけでなく、BやCも、「Dに300万円の金銭を支払う」という債務を負わないことになります。
つまり、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅するのです。
これが絶対効です。

おまけ

ちなみに、AがベンツをDに引き渡したとします。これで全部終了するとなんか不公平だと思いませんか?
Aがベンツ失っただけで、BとCはノーダメージですよね。
これではAが納得いきません。
この場合、内部的な負担部分にあたる100万円ずつBとCに請求することができます。これを求償といいます。

覚えておきましょう。

posted by 棚田行政書士 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 宅建試験 超短期間で合格する方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする