不動産大学ヘッドラインニュースのお時間です。
あいさつ
今日のニュースはこちら「東京から人が消えている」
ということで、東京といえば日本一の人口でおなじみですが、ここにきて東京の人口が急激に減っているんです。
日本の首都の人口が今大きく変わろうとしているんです、これを知らずに不動産営業している場合ではありません。
原因はやっぱりコロナによる働き方の変化でしょう。
ちなみに、コロナ前って毎年東京23区の人口ってどの程度増えていたと思います?
答えはこちら「5万〜7万人程度」地方の1自治体くらいの人口が毎年増えていたんです。
それがなんと、コロナ禍になってから大幅に転換しているんです。
2021年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京23区の人口が初めて転出が転入を上回ったんです。
そうなんです、23区の人口が減り始めているんです。
新型コロナウイルス禍でテレワークの普及などが進み、都心から人が出ていく動きが加速していると考えられます。
23区では、区外や他県への転出者から転入者を差し引くと1万4828人の転出超過だったんです。
こんなこと初めてです。
東京都心から人が減っているんです。人の流れが大きく変わっています。
ちなみに、東京都全体に転入した人から転出した人を差し引いた「転入超過」は5433人ということで、まだギリ
東京全体だと人口増えていますが、それでもたった五千人なんでこのままいくと減る可能性十分考えられます。。
東京都からの転出は41万4734人で20年から1万3千人ほど増えているんです。
じゃあどこにみんな出て行っているのか、気になりますよね。
転出先は神奈川(9万6446人)、埼玉(7万8433人)、千葉(5万8485人)の順に多かったようです。
みんな郊外の広いところに引っ越しているんです。
総務省はコロナ禍で東京や大阪といった大都市に人が集まる動きが緩やかになっていると指摘しているそうです。
ちなみに、東京23区からの転出先の分析によると、コロナが始まった2019年だと先ほどの神奈川千葉埼玉が多かったようですが、
2021年になると、茅ケ崎や藤沢、上尾市、つくば市など東京からより離れた地域への転出が増えているそうです。
みんなコロナで腹くくって遠くに出て行っている可能性高いです。
また四国や九州への転出も増加していて東京圏の周辺からより離れた地域に転出する人も増えているのが特徴です。
今日のポイントはここからです。
なぜそんなことになっているのか、ここからが不動産実務でも非常に重要な知識になります。
ズバリこちら
「リモートワークの普及」です。
IT企業を中心にリモートワークを前提に居住地の制限をなくす企業が増えているんです。
例えばIT大手のヤフーなんかは、通勤手段の制限を緩和し、居住地を全国に拡大できるなど、
社員一人ひとりのニーズにあわせて働く場所や環境を選択できる 人事制度「どこでもオフィス」を拡充しています。
要するに、みんなコロナをきっかけに気が付いたんです。
会社に行く必要ないって、リモートでも十分仕事できることに。
となれば、家賃が高くて狭い東京に好き好んで住む必要なんてないってことです。
私はこれ、個人的には今後の日本にとって長い目で見ればいい傾向だと思います。
増えすぎた東京の人口に歯止めがかかって、地方が活性化するいい機会だと思います。
ただ、これをただ黙って眺めてられないのが不動産屋です。
毎年5〜7万人も増えていた人口が、いきなりマイナスに転じたらどうなると思います?
そうです。
空室だらけになるんです。
-------------ここまで前編-----------------------
実は、不動産流通機構レインズシステムの東京都賃貸住宅在庫数はコロナ禍真っ只中の2020年に入ってから跳ね上がっているんです。
人口が減っている東京23区は、世帯数も増加幅が大きく減少しているんですが、賃貸物件の着工数はコロナ前と水準が変わっていないんです。
つまり、コロナでみんな東京23区から出て行っているのに、部屋だけはどんどん作っているというのが今の23区の現状なんです。
そうなるとどうなると思いますか?
当然空室増えますよね
コロナ前に東京23区で新規供給されていた賃貸住宅の約7割が単身者向けの賃貸住宅(ワンルーム、1K) です。
20年度に23区で供給された賃貸住宅の約7割(約4万戸)が単身者向け賃貸住宅だったと考えられます。。
各区の人口統計から考えると、コロナ前は年間約4万人の単身者が増加していたので、
需要と供給のバランスはとれていたんです。
ところが、コロナ禍では逆に年間約2・5万人の単身者が減少しています。
ということは、足し算してみてください。
つまり、年間約6・5万戸の単身者向け賃貸住宅が供給過剰になっているんです。
つまり、現在、ワンルーム1Kの賃貸住宅が大幅に供給過剰になって空室が大量発生しているんです。
これはヤバいですよ。
賃貸営業している人、この現状すでに肌で感じているんじゃないでしょうか。
東京23区なんてすぐに入居者決まっていたのが、1年空室なんていうこともざらに発生しているのは、
これだけ受給バランスが大幅に崩れているからなんです。
東京23区の間取り別空室率の推移だと、
20年中旬から単身者向けのワンルームと1Kの空室率が急上昇しています。
ヤバいですね。
ただ、今日の話はこれで終わりじゃありません。
実は、それ以外の間取りはほとんど変化がないんです。つまりファミリータイプの物件については、そんなに空室率に変化がないんです。
これはそもそも供給量が少ないこと、テレワーク拡大による住み替え需要が促されたことで、ファミリー物件については需要と供給のバランスがとれているんです。その証拠に、賃料の推移を見てみるとワンルーム、1Kは下落していますが、2LDK、3LDKは上昇傾向を維持しているんです。
ファミリー物件を持っている大家さんおめでとうございます。
勝ち組です。
そうなんです。コロナ禍においてファミリー物件の需要は強くなっているんです。
これは賃貸だけでなく、売買でもその傾向があります。
新築マンション販売数、中古マンション成約数は19年度並みで、
新築・中古戸建の成約数は19年度を上回っています。
これは、高収入層に対するコロナ禍の影響が少なかったことや、テレワーク拡大によって住み替えを考える人が増えたことなどが
影響していると考えられます。
また今は金利も低いですから、家賃を払うくらいなら買ってしまおうと思う人も増えているんだと思います。
実際、ファミリーの新築分譲マンションのモデルルームなんかは連日予約でいっぱいの状況のようです。
先日私の知り合いが総戸数60戸くらいのマンションの説明会に行ったそうなんですが、1日で400組が来場したそうです。
はんぱない競争率ですね。
昔は、15年くらい前だと複数の部屋を選び放題だった新築物件も、今は抽選に当たらないと買えないレベルに需要が拡大しているんです。
同じ不動産業界でも明暗が大きく分かれているんです。
じゃあ、不動産業界はこれからどういう方向に行くのか、ここからは私が勝手に予想させていただきます。
予想その1:ダメ物件は永久に決まらない
これだけ空室が増えると、仮に需要が回復傾向になってもそう簡単には需給バランスは改善しないと思います。
となると、決まる部屋と決まらない部屋の明暗がくっきり分かれてくると思います。
次の項目に複数該当する物件は、今後空室が長期間に及ぶ可能性を考えて対策を取る必要があります。
・東京23区である
・築25年以上経過していてる
・リフォームをしたことがない
・バストイレ一緒である
・駅から徒歩10分以上かかる
・家賃が10万円オーバーである
これらに複数該当する物件は、今後空室が長期化する可能性が高いので、リフォーム、家賃値下げ、売却といった対策を早めに講じることをおすすめします。
以上、不動産大学ヘッドラインニュースでした。